黒田博樹 公式ホームページ『kuro18』

道

06年のFA騒動・メジャー移籍等でカープファンのみならず多くの野球ファンを魅了 した一人の野球選手、黒田博樹。

球界に多くいるスター選手のように学生時代から華々しい道を歩んできた訳ではなかったが、野球に対する真摯なまでの姿勢と、ひたむきな向上心、そしてある時は反骨精神を持ちながらあきらめずに続けることで“球界を代表する投手”と言われるようにまでに成長した。

このコーナーでは、彼がこれまで歩んできた野球人生を彼自身の言葉で語って貰った。

【球界のエースへ】2006年

—  防御率
<交流戦の成績はあまりよくなかったが、それを除けば11勝1敗、防御率1.20前後の驚異的な成績を残す>交流戦の時期は中4日で回っていたので体力的にも一番ハードだった。それをどう乗り切るかは今年の課題のひとつでもあった。防御率は1点台だったが、欲を言えばあと11イニング投げて200イニングで1点台というのを目指したかった。終盤にケガをして悔しかったが、市民球場で1点台という成績には自信を持っている。
—  周囲の意識
自分自身の調子が良くても悪くても、ある程度名前で抑えていかなければならない立場だと思うので、それが多少できるようになったのかなと思う。
—  打線の援護
打線の援護が少ないと言われていたが、それはあまり気にしていない。やはり打てない時にこそ、それ以上に抑えれば勝てるというぐらいの気持ちでいかないと、ハマってしまうと勝ち星はなかなか伸びなくなる。特に相手チームのエースと対戦する時は、何か気持ちの部分で粘り強さを持っていかないと結果を出すのは難しいと思う。
—  孤高のエース
見ている人にそう思って楽しんでもらえればいいと思うが、僕自身はどうやったら勝てるかと考えた時に、やはり相手より1点でも少なく抑えれば勝てる訳だからそういう気持ちを常に持って投げている。
—  危機感
<8月に肘を故障し、戦線を離脱する>投げた翌日に肘に水が溜まって曲げ伸ばしができず、今までにないような状態だった。それまでは状態がよく8連勝をしていた後だったので、凄く残念だった。チームに対してもエースがいなくなるというのは凄くマイナスになるし、申し訳ないと感じていた。

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【FA騒動】2004年8月

報道  —
FAに関してはほとんど新聞に書いてあった通り。まったく白紙の状態で、肘のこともあったし自分でもどうするか凄く悩んだ。阪神決定といった報道もあったが、自分さえしっかりした気持ちを持っていれば流されることはないと気にならなかった。ただ、僕自身も自分から先に報告しないといけない人たちがいて、噂であっても先に報道されるとその人たちに迷惑をかけることがあったので、話したくてもなかなか話せないという状況だった。
アドバイス  —
父親にも相談したが、好きにしたらいいという感じだったし、その段階での自分の素直な気持ちで決めようと思っていた。あまりたくさんの人に聞いてしまうといろんな意見に余計に惑わされてしまうと思ったし、自分のシンプルな気持ちとカープとの交渉で決めることができたのでよかったと思う。
大リーグ  —
広島では毎日のように新聞などで取り上げられていたし、メジャーリーグ移籍の報道も目にしていた。野球選手としてそこまで回りに評価してもらえることは凄く嬉しいことだった。金額というのも選手の評価のひとつかもしれないが、僕自身はあれだけ話題に取り上げてもらったことだけでもまずは一プロ野球選手として評価されたという気持ちがあった。
現時点ではそういう気持ちはまったくないが、ただ常に向上心を持っていたいと思っている。僕の場合、それがなくなったら野球選手として終わりだと思うので、その中で次のステップがメジャーだったら挑戦したいと思うかもしれないし、メジャーじゃなければ日本の野球で頂点を目指したいと思う。今はこのチームで優勝することが大きなモチベーションになっている。
反骨精神  —
残留を決めてすぐに手術を受けるためにアメリカに渡ったので、日本の騒動はあまり知らずにいたが、後で思ったよりも反響が大きいことを知ってびっくりした。 自分では、これからの自分自身の野球スタイルや、自分にとって何が一番良いのかを考えた結果がその選択だっただけで、そのことが凄く評価されるのは何でかなと思う部分と素直に嬉しい部分がある。そのことでまたファンが増えると嬉しいし、カープの見方が変わってお客さんが増えてくれればいいと思う。
<編集後記> どんな質問にも丁寧に、淡々と語ってもらいはしたが、特に印象に残ったのは下記の二点だった。決してエリート選手で順調に育った訳ではないが、その場その場で足らない自分の実力を「等身大で自覚」し、「焦らず」、「地道」に、そのとき出来る努力を継続して続けてきた事。これが簡単なようで中々出来ないのではないであろうか?だから野球が好きで、プロを目指している少年達にも、夢をあきらめずに頑張って欲しい!仕事や家族のこと等で、色々と悩んでいる人には、自分がマウンドで闘っている姿を見て、少しでも勇気付けられたら・・。これこそ彼がプロの投手として、グラウンドで魅せている姿かと感じた。もう一つが、実母の死が彼にとって非常にその後を左右したようで、厳しくも愛情豊かに野球少年、黒田博樹を支え、育てた最愛の母がこの世を去った事によって、今まで色々なことをプラスに変えてきた彼が精神的にも独り立ちし、成長を遂げた転換期だったよう思えた。こんな過去の姿が今の黒田博樹の礎となったことで、それが今回のFAでの決断に至ったよう感じる。彼にとってみれば、好きな言葉にあるように、「感謝」「氣」の精神で、自分を育ててくれた広島カープ、そして今のチームメートと、優勝目指して一丸となって頑張る!!が、最終的にはシンプルな決断だったのではないか?それが「男気」などと総称され、こんなに大きな反響があるとは思ってはいなかったものの、これで野球に興味を持ち、カープを応援してくれるようになる人が、少しでも増えれば嬉しい事だと、今はそう思ってシーズンに望んでいると感じる。  きっと今まで以上の責任感、プライドを掛けて、彼はマウンドで投球するだろう。彼の通ってきた「道」と同じく、良いときも、時にはうまくいかない時も、焦らず、じっくりと声援を続けていこうと改めて思う。

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