黒田博樹 公式ホームページ『kuro18』

黒田選手のメッセージ

2009年は、ドジャースで黒田選手の通訳をされている
Kenjiさんにもブログに参加してもらいます!
側面から見た黒田選手、メジャーリーグの生の様子を伝えてもらいます!

2009年06月26日

8回を投げ終えた黒さんが戻ってきます。ベンチに座り、タオルで汗びっしょりの顔を拭き、ペットボトルの水を一口飲む黒さんの所にピッチングコーチのリック•ハニーカットが、ゆっくりとした足取りで黒さんの方に歩いてきます。言葉が分からなくても、ハニーカットの顔に書いてあるメッセージは一目瞭然。彼が言葉を発する前に黒さんは一言。

「行きます!」

しかし、確認のためにリックは「だいじょ….」と途中まで聞こうとしたものの、黒さんは爽やかな笑顔で、

「行きます!」と即答。

完投に生きがいを感じているかの様に、黒さんの表情は終盤に行けば行く程、充実感に満たされていきます。「野球は辛い事ばかり」とよく黒さんは口にしますが、あの場面は野球の神様が黒さんに光をさしたかのように見えました。

ウェルカムバック 2009年06月05日

7時10分から始まるナイターの登板の日、黒さんはクラブハウスを6時半に出ます。試合前のキャッチボールをするためフィールドに出ますが、ダッグアウトからではなく、レフト方向にあるブルペンから行きます。そのために、薄暗く長い廊下を通ります。「18」という大きな背番号の上に「KURODA」と刺繍されたユニフォームを背負い、ゆったりとした足取りで試合モードに入って行く黒さんの後ろ姿を見ながら私は付いていきます。この緊迫感に包まれた廊下を歩くのは久しぶりです。

ブルペンのドアを開けると、スタンドの両サイドから沢山のファンが、

「クロダー!」
「ヒロキー!」
「ウェルカムバーック!(おかえり)」

と2ヶ月ぶりの黒さんを迎えました。と言っても、今年初めての本拠地登板なので、地元ファンは半年以上も彼のピッチングを見ていません。ブルペンのゲートを警備のルイスさんが開け、黒さんが外野の土に右足を一歩入れると、今度は球場中のファンが気付き、3万人の歓声が湧きます。

「ウィー•ワー•ウェイティング•フォー•ユー(ずっと待ってたのよー)」

と、レフトファール線越しに「18」のTシャツを着た金髪のお姉さんが、手を振りながら叫んでいたのは印象的でした。他球場から帰ってくると思うのですが、やはりロスは多民族文化で作られています。金髪のお姉さんもいれば、メキシコ人のおっちゃん達も、黒さんの復帰を家族が帰ってきたかのように喜び、スペイン語で黒さんに一生懸命メッセージを送っています。時には「黒田さん、頑張ってー」と日本語の応援も聞こえます。フィールドに立っていると、歓声のシャワーが四方八方から降って来る感じでした。

復帰戦を白星で飾れなかったのは残念ですが、試合後のインタビューで、黒さんは「チームの一員として戻れた感じがします」と言っていました。黒さん、おかえりなさい。

五十四の瞳 2009年06月04日

3K(空気が悪い、汚い、気味が悪い)の街ベーカーズフィールドにも輝くものがありました。選手の目です。25人枠に入っている選手と、他に登録されていない補欠選手2人を合わせて27人。五十四の瞳。

1A(シングルA)の選手は教育リーグから抜擢された選手が揃っているので、年齢は18〜22歳位。もう一超えすれば2A(ダブルA)に上がれる選手達です。2A まで到達すればメジャーが見えてきます。昨年活躍したブレーク•デュウィットや今年もブルペン投手の中核投手となったコーリー•ウェードは3Aをスキップし、2Aから上がってきた選手です。

あんなボロな球場でも、野球ができる幸せを感じている選手達はすごい。メジャーに上がった選手達が皆通る道だと信じ、目は輝いています。試合前、黒さんが投球練習していると、投手陣が釘付けになって見ていました。ベーカーズフィールドのファン達もメジャーの選手を一目見ようと、スタンドから身を乗り出してシャッターを押しています。黒さんを含め、日本人投手のフォームは全身を使いバランスが取れているので、マイナー投手コーチもよくお手本にしていると聞きました。その生のお手本を見るために若い選手達は必死です。

黒さん級のメジャー選手がマイナーに調整に来ると、マイナー選手全員に晩飯をおごる習慣があります。ロッカールーム中央の机上の悲惨な食事を見ながら、黒さんは$500クラブハウスマネージャーに渡し、試合後の食事を買ってくる様に依頼しました。五十四の瞳はメジャーへの憧れだったのか。それか黒さんがご馳走に見えたのか……疑問に思えてきました。

☆先日、黒さんがマイナーで調整した時の日記です。
  ベーカーズフィールドというロスから160キロ程離れた田舎町での試合でした。

実戦 2009年05月22日

いよいよ明日から実戦に復帰できることになりました。

明日はマイナーの1Aでの試合で50球ぐらいの予定です。やっとここまできたって感じです!

なかなかケガをしてる間は更新することができなかったですが、またこれから少しずつ更新していきたいと思います。

そしてこのあいだニューヨークメッツ戦で高橋建さんが、ドジャースタジアムにきて久しぶりに会いました。なんかメジャーに来てすごく野球を楽しんでるような感じがしました。40歳までこの世界でやってるのはすごいと思いますし、僕もケガをしてるのもあってふとあと何年できるかなって思ったりします。

心の会話 2009年04月13日

5番目の先発投手、ジェイムス•マクドナルドが自滅。ホームランを打たれた後、動揺してかストライクが決まらず、ファーボールとヒットの連発。結局、3回保たず交代。

ジェイマックは、降板後、誰とも喋らず、試合後も黙ったままです。黒さんがクラブハウスを出ようとする時、しょげ込んでいるジェイマックの肩を軽く叩きました。振り向き、黒さんと分かると、彼を追うように一緒に外まで付いてきました。黙ったまま二人は夜風の吹くフェニックスの街を歩き始めます。沈黙を続ける二人は 、野球人にしか分からない会話を言葉無し
でしているようでした。

黒さんは沈黙を破ります。「俺も若い頃はこんな試合ばっかりだった。そんな夜、一人で歩いて家まで帰ったよ。その途中、こんな事を思った。『ファンの人、誰か殴ってくれんかなぁー』って」。ジェイマックの凍り付きそうな強張った顔は笑顔をもどし、「今、本当にその心境だよ」と一言。試合後初めて喋りました。それからは野球の話になり、黒さんはジェイマックの良かった点を強調し、ジェイマックは自分の反省点ばかりを話します。しかし、チームの他の選手と誰も口をきかなかった彼が、黒さんに心の内を開かしている事に私は心を打たれました。

野球人の心の会話を聴けた夜でした。

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